こんにちは、昔話課主任です。

三雪村が昔話をHPに掲載して発信する際、
昔話を単に記録していくだけではなく、
皆様により楽しんで読んで頂くために、
挿絵として「切り絵」を一緒に掲載することに
致しました。

それは単に、皆様の目を楽しませるだけではなく、
三雪村が目指す目的を今回採用した切り絵が
補い助け、昔話を一層生き生きとさせる

という相乗効果が得られるからだと
昔話課が判断したからでございます。




「ふるさと」を演出

切刻亭作/2016年「春・耕田の候」

「①三雪村の「昔話の村宣言」とは」
に記載してあります通り、

三雪村が昔話収集するテーマとして

1、自然とリアリティ
2、ふるさと・原風景

がございます。


まずは2番目の「ふるさと・原風景」

これを表現するのには、切り絵がピッタリなので
ございます。

影絵や切り絵など、シルエットの作品は
ノスタルジーを誘い、
あなたに昔懐かしい原風景を思い起こさせます。

2019年7月 湯沢町浅貝地区

滝平二郎さんの切り絵が私は昔から好きで、
テーマも絵本の昔話や昔の日本の風景が多く、

切り絵にノスタルジーというイメージを
植え付けてくださった素晴らしい方だと
思っております。


「切り絵」というだけで、誰の頭の中でも
「ノスタルジー」の風が吹くことでしょう。


このことからも、
もし挿絵を入れるなら絶対切り絵にする!
と昔話課主任として固く心に決めておりました。




「自然」そして「リアリティ」

昔話課として、更に「切り絵」の中でも
三雪村が昔話収集するもう1つのテーマ

「1、自然とリアリティ」

も表現している切り絵を挿絵としたいと
考えました。


そこで採用した切り絵師が
「切刻亭(きりきざみてい)」

切刻亭の切り絵のモットー、
「生きている線を切る」ことと、
そのための手法

①下描き(下絵)を行わない
②カットで用いるのは、ハサミだけ。

この2点が、彼女を採用した理由です。


切刻亭が目指す表現は「生きてる感じ」。

たとえば、花を切るとして。
単にキレイに花を切るのではなくて、


その花の「生きてる感じ」を切る。

なので上記のように、桜の花びらを
単純化してキレイな線で切るのではなく、
斜めを向いたり横を向いたりしている姿
=生きてるそのままの線を描写して切る、
ということです。


また、「白黒」「明暗」を表現するというよりは、
「線」を表現することを重視しているため、

試し切り。上質紙&白黒配分を見る試し切りなので、
線までキレイに切っていない、とのこと。

上記の藤の花の部分のような
ハサミで切った線がボソボソと汚いことが
ないようにしているとのこと。

切り口が少しでも汚いと、途端に切り絵が
呼吸停止になってしまい、
生き生きとした作品からかけ離れていって
しまうそうです。

そして、
①下描き(下絵)を行わない
ことで、この生き生きとした線は
表現出来る
とのこと。

切刻亭曰く、

「私の場合なのですが、
ハサミで下描きを切るという行為を
脳が「なぞって切るという「作業」」
と認識してしまうのです。

下描きをなぞって切ると、途端に
今切っているものの存在感・生きてる感じや
全体の中での位置を意識しなくなる…

それでは私の場合、
下描きをなぞって切る線=死んでしまうので
下描きなしで切ることを今だに採用しています」

とのことでした。

(…でも実際は、絵がど下手でハサミで
 切った方が上手くいくからだそうです……汗)



またそれに重ねて、今まで切刻亭は、
イベント出展等で
実際のお客様のお顔やペットの写真などを見て
即興紙切りを行ってきたという実績が
ございます。

2014年ドッグカフェイベントにて

まさに、「リアリティ」を切って来ている
切り絵師であることも、今回採用に加味した
実績の1つでございます。




何より必要な「新潟県」を愛する心

2019年12月 湯沢町浅貝地区 早朝

最後に、切刻亭を採用した一番重要なこと。
それはずばり、

「新潟県を愛する心」「中越地方を愛する心」
です。


先程述べた技術よりも、
実はここを最も重要視致しました。

…逆にこれがなければ採用しなかったかも
しれません。


切刻亭自身、新潟県中越地方にて
生まれ育っております。

2019年9月 南魚沼市・旧塩沢町

大学進学で東京へ上京し、
その後も東京で働きながら切り絵もし、
結婚も東京の方と致しました。


その後旦那さんの体調の関係で
東京ではなく療養のため田舎に行こう、
と2人で決めた時、

迷わず新潟の田舎に住むことを
選択しているほど
新潟県を愛しております。


今では山奥で毎日引きこもり、
「引きこもり最高!」
と毎日自然を堪能しているそうです。

(…そのせいで、納期が遅いのですが(笑)

昔話の聖地巡礼も行ってくれますし、
中越地方の郷土史も読み進めてくれて
おります。


2019年2月 魚沼市・入広瀬
切刻亭は雪景色が好きだそうです。

「切り絵」
「リアリティ」
といった表現方法や手法も確かに大事です。


しかし、愛するもの=新潟県
を同じくし、同じものを目指す。

それによって、皆様に伝わる威力は
何倍にも効果があると
昔話課としては考えております。


新潟県を愛する作家が見つかったこと。
これが昔話課として一番の収穫です。

昔話課と切り絵、新潟を愛する心で連携し
皆様により一層楽しんで頂ける昔話を
発信して参る所存です。

切刻亭作/2016年「春・田植え前」
モデルは越後広田駅・北条駅近辺の風景とのこと。